「日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会」総会に参加

9月22日、日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会が横浜で開催され、私も参加した。総会では今日の情勢を次のように確認した。

朝鮮半島の軍事的緊張は、占領中の日本から米軍が出撃した朝鮮戦争が1953年に休戦して以降、米国と韓国による戦争挑発によって起こされている。
この休戦協定を一日も早く平和協定に切り替えることが、朝鮮半島の平和と安定への一番の近道だ。朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)は、平和協定締結の呼びかけを米国に対して何度も行っているが、米国は応えようとせず、話し合いさえも拒否している。
それは、冷戦構造を維持することが米国の軍産複合体の利益であること、同時にアジアでの米国の存在を誇示し続けるためには、台頭する中国とともに社会主義朝鮮の存在が邪魔であるという考えのもとに、朝鮮の体制崩壊を目的とした朝鮮敵視政策に固執しているからだ。日朝国交正常化に向けて、県民世論を高めるために努力する。

私はこの確認を支持するが、それだけでは済まない問題がある。日朝の国交正常化は、2002年「9.17」日朝首脳会談で出された「日朝平壌宣言」で進めようとしたが、それを快く思わない米国が邪魔に入り、朝鮮敵視の方向に転換させられた。日朝国交正常化を進めるためには、対米従属ではない政治の実現が必要だ。

総会の後、「人権と報道・連絡会」世話人の山口正紀氏による講演会が開催され、マスメディアが米国と日本政府の朝鮮敵視政策の道具にされていることが暴露された。

【演題】マスメディアの朝鮮報道の特徴と問題点
【講師】山口正紀 元読売新聞記者/「人権と報道・連絡会」世話人
読売新聞記者生活30年。2002年「拉致一色報道」批判で不当配転。03年退社

 講師の山口正紀さんは、

  1. 日本のマスメディアの報道は日米同盟の下で、米国の戦略に沿って朝鮮敵視政策を続ける日本政府の意向を反映した、朝鮮敵視を前提とした報道になっていて、事実を正確に伝えていない。
  2. 朝鮮が行う核実験、ロケット発射実験に対しては非難するが、米国が認めたインド、パキスタン、イスラエルの核開発は非難しない。二重基準で報道している。これは許されない。
  3. 朝鮮は米軍によって軍事的に包囲されており、平壌に対していつでもピンポイントで核攻撃ができる状態にある。それに対抗するために、核兵器を持つことは非難できない。

以上の3点を指摘して、日本のマスメディアがどのようにして朝鮮敵視の報道を続けて来たかを、新聞の見出しを使って具体的に指摘した、わかりやすい話だった。
山口さんは最後に、日朝関係の解決に必要なのは平和的話し合いだと指摘し、次の4点を訴えた。

  1. 朝鮮戦争の「休戦」から、完全な平和協定への転換
  2. 日朝国交交渉の再開
  3. 米軍のアジアからの撤退(韓国、日本、グアム)
  4. 核保有国すべてが参加する「核完全廃棄」に向けた協議

講演は講師が用意した資料を使って行われた。資料は大きく2つに分けて、具体的に偏向報道を批判。資料の見出しは次のとおり。(内は越川が記入)

【1】 二重基準報道

 

  1. 「ミサイル・核実験」で繰り返される一方的朝鮮攻撃、
  2. オバマの広島訪問に翼賛大報道、
  3. 「核・ミサイル開発」の歴史的背景を報じない政治的報道、
  4. 公安情報を鵜呑みにし、ヘイト攻撃を煽る政治弾圧報道

【2】 日朝国交交渉と「拉致」一色報道 「北朝鮮=敵」とする二重基準報道の背景

 

  1. 日朝国交正常化交渉 (サンフランシスコ講和条約以降の経緯を歴史的に振り返る。)
  2. 2002年「9.17」日朝首脳会談の内容と問題点
  3. 「北朝鮮敵視」報道を解禁した「拉致」報道 (2002年「9.17」日朝首脳会談で出された「日朝平壌宣言」で進めようとした、日朝の国交正常化交渉が妨げられたと指摘。)
  4. 「拉致」一色報道が煽った「反北」感情

【おわりに】

 

    1. 制裁一辺倒の「5回目の核実験」報道(2016年9月)(を例示)
    2. 2002年以来「十年一日」の制裁報道がもたらしたものは
      1.アジアの緊張激化
      2.在日朝鮮人への不当な攻撃
      3.解決に必要なのは平和的話し合い
    3. 戦争責任をとってこなかったメディアの「戦後責任」