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市議報会告 2015年3月(2)

一部の大地主のための工業用地、道路など
「開発型政策」を中止!
今こそ地域で頑張る工業、商業、農業を応援する市政を

土地開発型市政は限界に来た

 市長は今年の「施政方針」で「地域の活性化は市の最重要課題」と言った。最重要課題ということは、「活性化していない」現実を認めたということ。問題は、「何故、活性化していないか」である。

 これまでも、さかんに「市内産業の活性化」が語られた。しかし、実際の施策は総合計画にそって市役所前を通る県道沿いのタウンセンターやアグリパーク構想など土地開発中心である。住宅団地開発も大規模に行われた。

 市の財政は、産業発展や市民生活支援ではなく「開発」につぎ込まれた。下のグラフを見ていただければわかるが、綾瀬市予算で「土木費」がずば抜けて多い。毎年である。

こしかわ好昭

 昨年は東名高速道路綾瀬インターチエンジ関連に70億円近い税金をつぎ込むことを決めた。

 今度は道路をつくり工場を誘致し経済発展を図るという。市はいま、落合・吉岡地区および吉岡西部にある貴重な農地をつぶし、小学佼ゆ中学校のまわりに「工業用地」を作る区画整理事業を進めようとしている。

 生活環境が破壊されると地域住民が反対している県道寺尾・上土棚線の延長計画もあきらめていない。総額270億~370億円もの税金をつぎ込むという計画である。

製造業は重大な困難に直面

 問題は、長い間頑張って地域経済を支え雇用を生み出してきた製造業の企業が重大な困難に直面していることである。リーマン・ショック後の5年間で59もの工場、2500人近くの一雇用が市内から減った。

 工場誘致もいいが、まず市が手を打たなくてはならないのはこの問題である。

 市内製造業に働く労働者全体の賃金総額は5年間で190億円、1人平均で50万円も減った。若者と女性の非正規労働者が増えた影響も大きい。

 地域の商店は、開発のために大型店舗を呼び込む市の政策の結果厳しい経営を強いられて行き詰まった。大型店同士の競争も激化、ついに「ダイエー」も閉店に。このままでは市民は買い物も困難に。

 農業は、開発で農地がつぎつぎ潰され、外国農産物も増えて、すっかり衰退してしまった。土地開発型の市政を転換しなくては、市民の暮らしは成り立たない。

相次ぐ開発政策が財政圧迫

 土地開発を進めれば、当然にも土地を売る少数の地主さんは大いに潤う。ほぼ毎年、土地を売った所得が市全体で50億円前後に上る。この10年以上ほぼ変わらない。その金額は約1400ある市内の工場や商店の全体の営業所得を上回っている(14年度、営業所得43億円、土地の分離譲渡所得は50億円)

 土地造成のための区画整理事業や道路建設、公園整備などに膨大な税金がつぎ込まれる。市の財政は圧迫される。

 大和市や海老名市など近隣市では、子供の義務教育期間の医療費完全無料化が進んでいる。この程度のことも綾瀬市では手が打たれていない。市民生活に大きな差が出てくるのである。

実質公債費率県下ワースト3位

 こうした開発型市政の結果、市財政は悪化。神奈川新聞が昨年度の予算について「市民は長期的視点で監視する必要がある」と指摘。

 市の連結決算報告によると総借金は487億円で市民1人当たり59万円。市の一般会計が負担する借金返済額の割合(実質公債費比率)は13.2%で県下ワースト3位。将来の市民を含めて重い負担となっている。近隣の大和市3.5%、海老名市は0.6%、県下の平均は6.2%で綾瀬市よりもずっと少ない。

 市は、財政困難を理由に、負担を市民に求めている。国が消費税増税や年金削減など生活を破壊する政治を進める中で、綾瀬市はこの3年の間に国保の税率を平均8.6%引き上げ。スポーツ施設や公民館などの使用料値上げ、スポーツ公園と体育館のシヤワー利用の有料化、小中学校の体育館やグラウンド使用の有料化など更に市民負担を増やしている。国の悪政を正し、市民負担を和らげる市政こそ必要である。